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rTMS治療

2021年11月より「rTMS治療」を開始致しました。詳細につきましては下記サイト内をご確認ください。

rTMS治療についての説明は、慶應大学医学部精神神経科学教室の野田賀大先生に監修いただき、同先生の承諾を得て記載しています。

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rTMS療法の概要について(rTMS療法とは)

rTMS療法は、脳の働きが低下して引き起こされるうつ病や抑うつ状態に対して、脳に磁気をあて、脳の働きを回復させることで治療する方法です。お薬での治療が効きにくいうつ病の方、お薬の治療ができないうつ病の方、またはお薬での治療をご希望されない方に対して適した治療です。双極性障害の方にも、状況よっては実施することが可能です。

rTMS療法の副作用には、けいれん誘発発作がありますが、その頻度はきわめて稀であり(0.01%)、ほとんどの患者様において、刺激する頭の場所の一時的な痛み以外の副作用がほとんどありません。

当院の治療時間は、初回に患者様毎に各設定を行っているため1時間程度かかります。2回目以降は6分程度の治療時間となっています。
治療頻度としては、急性期治療では週に3回以上は受けていただいた方が良いと考えられています。

rTMS療法は日本ではまだ非常に新しく、保険診療については日本ではまだ限られた施設に限定されています。

治療費の詳細につきましては「治療費について」をご参照下さい。
まずは当院にご相談ください。初診の際に、rTMS療法がどの様な治療かを説明し、患者様一人一人にこの治療法が適しているかどうかを相談させていただきます。

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法が
どのように作用するか

rTMSは、様々な精神疾患に対する治療方法として、現在、世界中で注目されている治療法です。

薬物療法や心理療法とは異なり、rTMSは、脳の活動性の低い領域または過活動となっている領域を非侵襲的に磁気をあてて刺激し、徐々に健康な活動パターンに回復させる治療法です。rTMS治療では、大脳皮質の刺激に強力な集束磁場パルスを使用します。この刺激パルスは、対象となる脳の領域に焦点づけして、頭皮にTMSコイルをあてて治療を行います。これらのパルス刺激を繰り返し行うと、刺激した領域のニューロン間におけるシナプス機能を強化したり、減弱したりして、望ましい状態に調整することができます。

シナプスを介した神経接続の長期的な変化は、脳活動の持続的な変化を引き起こし、うつ病に関連した神経回路の異常活動パターンを正常化させると考えられています。

当院でrTMS療法を受けることができる
対象疾患・状態について

rTMS療法が適応になる最も一般的なケースは、薬物療法や心理療法に効果がなかったうつ病です。精神科で大うつ病性障害の診断を受けており、1~2種類の抗うつ薬を一定期間試しても効果がなかった場合、または、少なくとも2種類の抗うつ薬を試しても副作用が強くて薬物治療に耐えられなかった場合には、rTMS療法を検討する価値があります。

うつ病の患者様で、なるべく薬物療法を行いたくないという場合も、rTMS療法のよい適応です。さらに、カウンセリングと併用してrTMS療法を行うことで症状の改善につながる可能性が高くなります。

rTMSは現在、北米を中心として、双極性障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、摂食障害、自閉スペクトラム症に伴う症状(特にうつ症状)に対する新規治療法としても少しずつ研究が積み重ねられています。こころと眠りのクリニック成増のrTMS治療では、これらの精神疾患に伴ううつ状態に対してrTMS療法を行うこともありますが、実際に治療を行うかどうかについては、患者様の状態に応じて、個々に診察時にご相談させていただきます。

当院でrTMS療法を行うことができない
対象疾患・状態について

当クリニックでは現在、パーキンソン病をはじめとした神経変性疾患、慢性疼痛、耳鳴りへの治療は行っておりません。けいれん発作は、非常に稀ではありますが、rTMS療法における重篤な副作用の1つであるため(0.01%)、けいれん発作の既往があったり、てんかんと診断されている患者様は原則としてrTMS療法の適応にはなりません。

また脳外科手術により脳内にデバイスが埋め込まれている患者様、または頭頸部領域に金属異物がある患者様も、rTMS療法の対象にはなりません。

脳梗塞・脳出血、脳外科手術、外傷性脳損傷、または脳に影響を与える他の神経疾患の既往歴のある患者様は、当クリニックでのrTMS療法には適さない場合があります。

当院では、18歳未満の方にrTMS療法は実施しておりません。予めご了承ください。

うつ病におけるrTMS治療の利点について

うつ病に対するrTMS治療の有用性については、世界中の研究機関からエビデンスの高い数多くの報告がなされています。野田賀大先生が(トロント大学医学部精神科、慶應義塾大学医学部精神神経科MTRラボ、新宿・代々木こころのラボクリニックにおいて)これまで10年以上に亘りrTMS治療を実践してきた経験からは、標準的なrTMS治療を30セッション実施した場合、薬物治療抵抗性うつ病患者のうち、約5割が反応(うつ症状の重症度が半分以下に改善)、さらに約3割が部分反応(うつ症状が部分的に改善)、残りの約2割が無反応(うつ症状の改善を認めない)といった臨床成績が得られています。一方、rTMS治療を実施し、うつ症状が悪化したケースは極めて少ないと考えられています(ただし、rTMS療法実施期間中に重大な心理社会的なストレスイベントが生じた場合は除きます)。

rTMS療法が奏功した場合、効果は一般的に約4~12ヶ月持続します。また、持続療法としてブースターセッションを実施することも可能です。通常は週に1~3回を最大3か月間まで実施します。その後、さらに再発予防として、週に1回の維持療法を6か月間継続することも可能です。

他の治療法と比較した際の
rTMS療法の利点について

rTMS療法は、大部分の患者様にとって、刺激部位の一時的な痛み以外の副作用がほとんどないというメリットがあります。電気けいれん療法とは異なり、rTMS療法には、記憶・注意・集中力および知的機能に対する副作用がありません。rTMS療法は、麻酔や鎮静を必要としないため、患者様はrTMS治療セッション後すぐに日常生活(家事・育児・仕事など)に戻ることができます。したがって、抗うつ薬に反応しなかった方、または抗うつ薬の副作用に耐えられなかった方、あるいは電気けいれん療法を受ける程には重症でなく、その治療を受けることに対して心理的な抵抗がある患者様にとっては、rTMSは魅力的な治療選択肢に成り得ます。

rTMSの主な欠点は、治療期間中、毎日クリニックに通う必要がある点です。 クリニックから遠方にお住まいの人、フルタイムで働いている人、または親や介護者としてフルタイムの責任を負っている人にとって、週に5回・数週間継続してクリニックに通って来るのは非常に大変なことです。このため、ほとんどの患者様はまず初めに抗うつ薬を試すことを選択し、抗うつ薬が有効でない場合や抗うつ薬の副作用で内服が困難な場合にrTMS療法を検討することが多くなっています。

もう1つの欠点は、他の治療法と同じく、rTMS療法もその効果が永続的な治療法ではないということです。通常、rTMS療法の効果は約4~12か月持続します。再発のリスクを減らすために、急性期の計30回のrTMS療法が終了した後も、定期的にフォローアップ外来を受診することが重要です。特に反復性うつ病の場合には、症状に応じて持続療法の継続、さらには再発予防を目的とした維持rTMS療法の実施が重要となります。

rTMS療法を受ける際の留意点について

初診・評価面談から最初のrTMS治療セッションを受けるまでに数週間かかる場合があります。rTMS療法による十分な治療効果を得るためには、通常フルクールの20~30セッションのrTMSが必要です。rTMSは月曜日から金曜日のうちの週5日間で実施されるため、rTMS療法1クールにつき6~10週間かかります。治療セッション時間は、提供される治療の種類に応じて、15~60分間続きます。クリニックの開院時間が曜日ごとに決まっているため、大変恐れ入りますが、クリニックの営業時間外にrTMS治療を提供することはできません。

rTMS治療開始後、rTMS療法が患者様に有用であるかどうかを確認するために、定期的な臨床評価以外に、2週に1回の精神科診察を実施致します。診察結果に応じて、rTMS療法継続の可否を判断致します。またrTMS療法クールが終了後も2週間おきにフォローアップ診察を計3回実施致します。その時の状況に応じて、追加のrTMS治療を検討することがあります。

rTMS療法中の活動制限について

rTMS療法を受けている期間中に特定の活動を制限する必要はありません。殆どの患者様が、rTMSセッション受療後に特に休憩を取ることなく、通常の日常生活に戻ることができます。rTMS治療前後での自動車の運転に関して制限はありませんし、公共交通機関による移動も特に問題ありません。一部の患者様におかれましては、最初の2-3回のrTMSセッションにおいて、家族や友人に同伴される方もいらっしゃいますが、rTMS治療自体には同伴者は特に必要ありません。仕事をされている患者様におかれましては、rTMS治療スケジュールと勤務時間の調整が付くようであれば、rTMS治療を受けるために休職をする必要はありません。

rTMS治療に伴う刺激部痛について

rTMSの最も一般的な副作用は、刺激セッション中の刺激部痛です。rTMSは脳を刺激するだけでなく、TMSコイル近くの頭皮・額・顔の筋肉や神経も一部刺激してしまいます。これによって側頭筋や顔面筋の収縮に伴う痛みや不快感が生じることがあります。これまでの研究報告では、rTMS治療の際に、治療に耐えられなくない痛みを伴う頻度は、全患者のうち約3%程度と言われています。一部の患者様は、治療セッション終了後に疲労感や軽度の頭痛を訴えることがあります。ただし、それらの症状が長時間持続することはありません。また、偏頭痛の既往がある患者様の場合には、rTMSに伴う頭痛の悪化や数日間持続する頭痛が出現する可能性は否定できません。

rTMS治療の潜在的なリスクについて

大多数の患者様にとって、rTMS治療に伴う深刻なリスクというのはありません。rTMS治療の初回または2回目のセッション中に、きわめて少数の患者様において、一時的な失神を起こす方がいらっしゃいます。その多くは過度の緊張・不安あるいは体調不良に伴う迷走神経反射によるものと考えられています。非常に稀なリスクに、rTMS療法に伴う軽躁化があります。一方、rTMS療法の最も深刻なリスクには、rTMS療法中のけいれん発作の誘発があり、1万人に1人の確率(0.01%)で生じうると考えられています。ちなみに、比較の参考までに、抗うつ薬におけるけいれん発作誘発の危険性は1,000人あたり約1名以上と言われており、薬物療法より安全です。

他方、rTMSによる脳刺激中のけいれん発作誘発のリスクは報告されていますが、rTMS自体が刺激と関係なく自然にけいれん発作を引き起こすようになるといった、てんかん原生を刺激部位に生じさせるというエビデンスはありません。むしろ、海外では、てんかんの治療法として、抑制性のrTMS刺激を臨床応用する研究が近年進められています。

また、rTMS療法はすべての患者様に適しているわけではありません。うつ病の場合、2割程度の患者様には効果がなく、4割程度の患者様には部分的な改善しか見られません。また、うつ病以外の他の精神疾患に関しては、まだ研究段階ということもあり、rTMS療法による奏効率はうつ病よりも低くなる可能性があります。

rTMS療法が奏功しても、効果は必ずしも永続的なものではありません。通常、rTMS療法の効果は約4~12か月続きますが、場合によっては2~3か月で再燃再発するケースもあります。その場合、ブースターセッションによる持続療法の実施が必要になることがあります。

当院でrTMS療法を受けるための診察予約の方法

医療機関に未受診の方は、rTMS療法をご希望とお伝えの上でお電話での初診予約をお願い致します。 かかりつけの精神科医師がいる場合には、診療情報提供書の作成をご依頼ください。その際、病歴の他に、いままでに飲んだことがある抗うつ薬についての情報(薬歴)のご記載もご依頼ください。診療情報提供書がご用意いただけましたら、同様にお電話にて初診予約をお願い致します。

初診外来では、当クリニックのrTMS初診担当医が患者様の症状や病歴を確認し、rTMS療法が奏功する可能性が高いかどうかを話し合います。また、rTMS療法の特徴、リスク、および利点について話し合い、rTMS療法についての質問があればその場で承ります。このrTMS初診終了時に、rTMS療法に対する適応があれば、治療内容や治療スケジュールを設定致します。

rTMS療法に伴う医療費について

rTMS療法は現在、限られた特定のrTMS治療器を使用して標準治療を行った場合のみ保険診療が適応されています。当クリニックでは、医療保険の適応外になりますが、可能な限り価格を抑えた料金(保険医療とほぼ同等の自己負担額)で自由診療の枠組みで、先進的なrTMS治療を提供しております。具体的な金額については、「治療費について」をご覧ください。

rTMS療法1クール30回が終了した後について

rTMS療法終了後3~6ヶ月にわたって、定期的なフォローアップ外来を実施致します。この際に、症状を評価し、治療後の経過を確認します。rTMS療法反応者に対しては、再発予防を目的とした維持rTMS療法を検討することがあります。

一方、rTMS療法で反応しなかった方に対しては、別の治療の選択肢をご相談いたします(急性期rTMS療法にほとんど反応しなかった患者様の場合には、その後、さらにrTMS療法を追加実施してもそれ以上の症状の改善は望めない可能性が高いため、rTMS以外の治療案についてご相談いたします)。

各精神疾患に対するTMS療法の適応に関する一覧表
診断名 中核的な病態・症状 二次症状(うつ症状) 備考
うつ病 適応あり -  
双極性障害 うつ病相には有効
(研究段階)
-  
不安障害 有効な可能性あり
(研究段階)
場合によっては
有効
特殊プロトコル
PTSD 有効な可能性あり
(研究段階)
場合によっては
有効
 
不眠症 有効な可能性あり
(研究段階)
場合によっては
有効
 
強迫性障害 有効な可能性あり
(研究段階)
場合によっては
有効
特殊プロトコル
ADHD/ASD 不明(研究段階) 場合によっては
有効
研究段階
統合失調症 不明(研究段階) 場合によっては
有効
研究段階
認知症 不明(研究段階) 場合によっては
有効
研究段階

rTMS療法の流れについて

  •  
    STEP1
    rTMS初診担当医よりrTMS療法についての説明を行います
    • 担当医より治療の適用の有無、治療による安全性・有効性の説明
    ≪診察時間の目安≫
    当院初診の方30分程度 かかりつけの方10分程度
  •  
    STEP2
    専用のTMS室にて個々に合わせた治療設定を行います
    • 担当医よりrTMS療法の説明を行い、ご同意いただいた後に治療設定
    • 的確な治療を行うため、刺激する場所や刺激の強度を設定
    ≪設定時間の目安≫ 20分程度
  •  
    STEP3
    rTMS療法開始を開始します
    • 設定した刺激する場所や刺激の強度に合わせ治療開始
    • 初回のセッションにて安全性と有効性を評価
    • 各セッション中に効果の評価や治療の継続の有無を適宜実施
    ≪治療時間の目安≫ 15分程度
  •  
    STEP4
    rTMS療法終了後について
    • rTMS療法終了後、担当医師より今後のフォローアップについて説明
    • 外来によるフォローアップで、症状に対する評価を実施し治療後の経過を確認

治療費について

当院が実施しているrTMS療法は保険診療ではなく、自費診療となります。

rTMS治療費

  • 1回 6,600円(税込)  30回合計金額 198,000円(税込)

・お支払いは、現金・クレジットカードからお選びいただけます。

・他院通院中の患者様は、診察費用もすべて自費となります。

  • 【 初診料9,350円(税込) 再診料5,000円(税込) 】

・rTMS治療費以外に、検査代、文書作成料、診察費等が別途追加となることもございます。

・rTMS治療は医療費控除の対象となります。

rTMS治療のお問い合わせ

rTMS治療に関するご質問等は、お電話にてお問い合わせください。

 【連絡先】外来local_phone 03-3939-0110
【受付時間】平日 9:00~12:30、14:00~18:00 (土日祝は対応不可)
      ※担当者不在時は、折り返しさせていただく場合もございます。
       予めご了承ください。

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監修・ライティング

院長・医師:澤田 法英

慶應義塾大学医学部 卒業

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