不眠症・睡眠障害の治療
睡眠障害とは、夜寝つきが悪い、睡眠を維持できない、朝早く目が覚める、眠りが浅い、十分眠った感じがしないなどの症状が続く状況を指します。睡眠が十分に取れないため、日中に眠気を感じたり、集中力の低下、注意散漫、疲労感や様々な体調不良が生じます。
うつ病、睡眠時無呼吸などの呼吸の問題、慢性的な痛みなどが不眠症の原因として考えられます。
原因
年齢ともに不眠症の頻度が多くなり、人口の5人に一人が不眠症状に悩まされているとされています。高齢者や、うつ病を含む精神疾患病歴や感情的なストレス、昼夜逆転の生活のサイクルなどが原因で不眠症になってしまうことがあります。
睡眠障害には、下記のように様々な原因から不眠が生じます。丁寧に症状をお聞きし、その方にあった適切な治療を提案します。
・うつ病、うつ状態に伴う不眠
・不安障害に伴う不眠
・躁状態に伴う不眠
・睡眠時行動異常(レム睡眠行動障害)
・睡眠時無呼吸症候群
・むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)
・様々な心理的・生理的要因など、さまざまな原因から生じる不眠
治療
症状や原因によってその治療は様々です。まずは睡眠を妨げる要因がないか確認を行い、生活状況を確認し、睡眠の改善を図ります。
それでも睡眠が改善しない場合には、睡眠薬や鎮静剤による薬物療法や、薬物以外の治療方法など患者さまに合った治療を行います。
<うつ病、不安障害などの精神疾患が原因の不眠症の治療>
元の疾患の治療が原則です。例えば、うつ病に伴う不眠であれば、うつ病に対する治療を行うことで睡眠状態が改善します。睡眠薬を併せて使用することも少なくないですが、原因となる疾患の治療が重要です。
最近の医療では、依存性の少ない睡眠薬や、依存性の少ない向精神薬(睡眠を助ける薬)があり、当院ではそういった薬剤を第一選択として、治療を検討しております。
<睡眠時行動障害(レム睡眠行動障害)>
寝ている間に、大声で寝言を言ったり、腕や足を大きく動かす、寝ている間にものを食べる、殴る、蹴るなどの激しい動作がみられます。症状が強いケースでは、起き上がって歩き回る、一緒に寝ている人を叩く・殴る、外に飛び出そうとするなどの危険な行動をとることがあります。
薬物療法として、抗てんかん薬であるクロナゼパム(リボトリール)を使用し、多くの場合、症状が軽快します。
<睡眠時無呼吸症候群>
睡眠の時に呼吸が止まっていることが頻回にある場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。当院では、簡易検査、精密検査のどちらも入院を行わず、外来で検査可能です。 睡眠時無呼吸症候群の唯一の根治的な治療は、減量、ダイエットです。
中等症から重症の場合には、CPAP療法(Continuous Positive Airway Pressure=経鼻的持続腸圧呼吸療法 通称シーパップ)が主な治療方法となり、月に1回以上の受診で保険診療でCPAP治療を行っております。
<むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)>
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)は、主に下肢が「むずむずする」といった不快な症状を感じる病気です。夜眠ろうとベッドに入ったときや、乗り物での長時間の座位、劇場などでじっと座っているときに、脚の内側から不快感が起こり、脚を動かすと和らぐという疾患です。むずむず脚症候群が起こるメカニズムはまだはっきり解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のドパミン系の機能障害、鉄欠乏などが関与すると考えられています。
カフェインやアルコールの摂取など生活状況と関連して症状が起きることもあり、まずはこういった要因を確認し、生活指導を行います。
軽症のむずむず脚症候群の治療では、クロナゼパム(リボトリール)を使用しますが、中等度~重度の症状の場合には、ドパミン受容体刺激薬のプラミペキソール(ビ・シフロール)、ガバペンチンエナカルビル(レグナイト)などで治療を行います。また、血中のフェリチン濃度を測定し、鉄欠乏がみられる場合には鉄剤を併せて使用することもあります。
<様々な心理的・生理的要因など、さまざまな原因から生じる不眠>
お悩み事に対して、カウセリングなどで心理的な葛藤を解消することで睡眠状態の改善につながります。